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海がきこえるのlのレビュー・感想・評価

海がきこえる(1993年製作の映画)
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静かだけれど、強く心に響く作品だった。

正直、里伽子の魅力が分からなくて、あんなにわがままで、酷い目に合わされたのにいきなり拓が里伽子のこと好きだったんだ、と言った時「いつから!?」となってしまった。気が強く見えて弱いところがあるとか、辛い思いをしているとか、ヒロインとしての魅力があるのかもしれないけど、結局美人だからでしょ?と思い悲しくなった…

それはさておき。

青春の一瞬一瞬のきらめき、その儚さ。その時の自分にしか感じられないこと、見られない景色があって、でもその日々は何気なく過ぎ去ってしまい、ふと自分が大人になったことに気づく。懐かしさを辿ってもあの頃の一瞬を掴むことはできなくて、切なさに痛みを覚える。拓と松野の、里伽子の登場によって少し変わってしまう関係性とか、同窓会での再会にみんな少し大人になっている感じとか、かけがえのないものを感じて胸が苦しくなった。私にはもう二度と戻ることのできない、経験することのできない青春を思うと切なくて、映画を見終わったあと泣き出したい気持ちになった。

この時代の雰囲気が本当に素敵だった。見るときっとまた苦しくなってしまうと思うけれど、心に残る映画だったので大切にしたい。映画館で見ることができて本当によかった。
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