皿と箸

TOKYO TRIBEの皿と箸のレビュー・感想・評価

TOKYO TRIBE(2014年製作の映画)
4.5
ヒップホップが1番盛り上がりを見せていた90年代…本場アメリカだけじゃなく日本でも沢山のMC達が成り上がりを果たしてストリートのクソガキが[アーティスト]として認められていった。
それは音楽的教養や社会的ステータスが無くても自分のスキルを磨き上げ業界の組織図を覆すことが出来るという証明でもあった。
だが成り上がりを果たすと言葉は熱を失っていき手法としてのヒップホップはメジャーになったが当時の勢いは結局時代によって淘汰され一種のサブジャンルに成り下がってしまった感がある。
それは成り上がりを果たした後のビジョンが描けてなかった事が大きいだろう。


園子温も同じようにインディペンデントな活動を通して己のスキルを研ぎ澄まし少しづつフォロワーを増やしながらこの位置まで辿り着いた。
しかし彼は全く丸くなんかなってなかった…商業映画で自分のオナニー…他人の原作があろうがなんだろうが己の主義主張をとことんまで貫くウルトラエクストリーム左翼的映画監督として生きていく事を高らかに宣言したと僕は受け取りました。w

今作に関して内容が無いとか、最高のエンタメとか言っている人が多かったので半信半疑でしたが園子温監督に限ってそんな事無かった‼︎と言わざるを得ない内容で同じ時代に生まれて良かったとさえ思いました‼︎

原作読んで無いのでどこまでが演出なのかわからないですが…
裏組織、政治家、アメリカ人と中国人(とは明示されないが多分暗喩)、市民が登場する。政治家と裏組織は癒着し、アメリカ人と中国人が難癖つけて圧力をかけて来る。そして民間人が殺され市民が立ち上がる。というストーリーとして政治的な文脈に置き換えるととても強烈なメッセージがバカバカしさに紛れて込められているのがわかる。(戦車にサムライが乗ってるとかね)意味わからんくらい示唆的なのでこれは多分絶対意味がある。

あとはとにかくオマージュが多い‼︎

思い出したところだと、竹内力が日本刀で串刺しになるところなんか黒澤明の蜘蛛の巣城のオマージュと思われるし、最後のメラのセリフは完全にIWGPのキングだし。
まぁしょこたんのキルビルネタはご愛嬌だけど、手法としてスプリットスクリーンとかはタランティーノやデパルマを踏襲してる。

そういうオマージュもヒップホップ的にはサンプリングって手法と共通してくるしセルフパロディやサービスシーンも多々ありあまりにも情報量が多すぎて全てはわからないけど、無茶苦茶大真面目なメッセージやメタファーが散りばめられていることは確かなので、この映画に関してただただ楽しいエンターテイメントを作りたかったとか言っている監督の言うことは信じないようにしましょうw
絶対適当に答えてるだけですw


表向きは全世界初バトルラップミュージカルとか適当な事を言ってアイキャッチして、なんかお墨付きをもらったかんじで最低限の興収は稼ぎ、その実やっているのは完全に自覚的なオナニーです(竹内力が劇中でオナニーしてましたね〜)

メディアでの発言とかも完全にセルフプロデュースと言うか印象操作してる感あるし、少しずつ自分のやりやすいように各界をハックしていくとは本当アタマの良い人だなーとつくづく感心した。

園子温は成り上がった。
ある組織を潰すためでは無く今作が半ファンタジー半リアルな世界観であったように商業と非商業の間を軽やかに横断し、己をフィルムに焼き付けていく。

これからの日本の映画表現を引っ張っていくのは園子温だと言って間違いないだろう。

前述したのをみるとかなり絶賛してるように見えますが内容的にはハッキリ言って今季観なくて良い映画No.1ですねw
人のオナニー見て興奮する人は是非‼︎w
皿と箸

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