Cisaraghi

ローマの教室で 我らの佳き日々のCisaraghiのレビュー・感想・評価

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原題は「赤と青」。元は同名タイトルのエッセイらしい。

学校というのはどこの国でもあまり変わらない没個性的な施設。だから、かえって国による違いが目に見えやすい気がする。

最近イタリア映画をわりとよく見るようになって思うのは、イタリア人の行動様式とか思考様式についてはよくわからない、知らない、ということ。彼らの会話はだいたい予想がつかない斜め上方向に進んでいく。

この映画を見ると、私の与り知らない文化的土壌で相当質的に違う教育を受けてイタリア人が出来上がっているということが何となく伺える。やはり教育は人を作るのだろう。

国語の時間に詩を延々と取り上げていたり、美術史!の先生が哲学的な話をしてそれを生徒が集中して聞き入っていたり、イタリア人にとって詩や美術が非常に大切で価値あるものという教育がなされていることは想像に難くない。
 日本で一般に詩がかえりみられているとは到底思えないし、むしろその逆だろうし、自分でも小説は読んでも詩は読まない。文学の至高の形態は詩だ、とどこかで聞いた言葉を久しぶりに思い出した。
 美術に至っては、義務教育が終わるとオプション扱いになる日本では美術教育に価値を置いているとは言い難いが、これは各国でどのような美術教育が行われているのか、ちょっと知りたいところ。

イタリアは精神医療の最先端を行く国だそうだが、それも根本にイタリア人式の言葉を尽くした成熟したコミュニケーションという基礎があってこそではないかと思える。多分イタリア人は無駄にお喋りなワケではないのだ。野蛮や高慢という言葉から最も遠い印象の人たちだと感じる。

先生と生徒の関係も日本的な定型とはかなり違っていて、日本ではありがちな高圧的な態度の有無を言わせず生徒を支配するような先生なんているのかな?と思える。なんか羨ましい。(イタリア人上等説・仮説)。
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