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ローマの教室で 我らの佳き日々のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

3.8
イタリア語のタイトルが「赤と青」でした。

おそらく、赤は教師のペンの色とダメ出しする色眼鏡の色。青は生徒の使う色で、素直なあるがままの色を意味しているのかなと思いました。

国語の補助教員として短期間きた熱血の教師、人嫌いで生徒をはなっからダメだと思い込んでいる美術のベテラン教師、ドライで事務的な校長の三人が登場します。

三人の教師がそれぞれ問題あると思っていた生徒と深く関わる中で、生徒の本当の姿を色眼鏡無しで見るようになり、教師自身が生徒から多くを教えられ、成長していく物語です。

石のように無機質な高齢の美術教師が、かつては美しく、熱く、教養深い、素晴らしい教師であったことをかつての教え子との再会で思い出させられるところが印象的でした。

海外では「詩」の授業があると聞いていました。学力世界一のフィンランドでは「詩」の勉強は欠かせないと聞きました。イタリアもそうでした。ノーベル文学賞をとった作家には詩人がたくさんいます。詩を学ぶ、素晴らしいことだと思います。言葉の文化を継承するには古典の世界の詩を読む、唱える、いい授業だと思いました。

やる気の失せていた美術教師が、いつも最後の授業だと思っている、と熱く、芸術を語る場面で聞き入ってしまいました。いつもと違う教師の熱弁に生徒たちが静かに耳を傾けている姿が良かったです。

エピソードはどれも小さなことなんだけれど、心が温かくなりました。
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