権威あるゴールデンラズベリー賞を総なめにし、監督が授賞式に登壇したことでもお馴染みの作品です。
......しっかしまぁ、これだけの作品が「最低作品賞」ってのが信じられないですね。
それだけに、堂々と受賞した監督のカッコよさに改めて惚れてしまうのですが......。
さて、内容ですが、『イヴの総て』の現代版のような感じで、田舎からラスベガスに出てきた主人公のノエミがダンスの世界でなり振り構わずのし上がっていくお話です。
そのダンスってのがストリップだから下品だのなんだのという誤解が生まれたのでしょうが、実際には彼女がことあるごとに「私は娼婦じゃない」と言うように、誰にも媚びず屈さず、ただ自分が高みへ登ることを求める彼女は強く美しい。
ところどころで感情の振れ幅が大きすぎてついて行きづらいところもあるものの、芯はブレないからそういうところも物語のアクロバットとして楽しめちゃいます。
これが下品だなんて、一体何を観てるんでしょうか......。などと言いつつ、ダンサーの強靭なフィジカルを活かした激しすぎるセックスシーンなんかはちょっと引きましたけど。←
そして彼女の周りの人達もみんなとにかくキャラが濃くて魅力的。
トップスターのお姉さんはめちゃくちゃ色気がヤバイし、性格悪過ぎてむしろ清々しくスターだなぁって感じで面白かった。
カイル・マクラクラクラクランはなんかこう、男だけどそのエロさにくらくらしたし、もうエロ過ぎてギャグみたいな感じで出てくるだけで笑いました。
他にもヤリチン君とかポロリおばさんとか、心に残るキャラクターが勢揃いで楽しいっす(彼らとの絡みが前にだけ進んでいく主人公の姿を際立たせてて泣ける)。
そして終盤怒涛のエモエモな展開になるのはヴァーホーベンのお家芸。
善悪も清濁も飲み込む展開でかなりつらいこともあるけれど、最終的に後味は悪くなく、綺麗事じゃなく頑張ろうと思える結末でしたね。
しかしこれで初期の入手が難しいもの以外はヴァーホーベンみんな観ちゃったことになるのでちょっと寂しい。もうすっかり好きな監督の上位に居座っちまいました。師匠、一生ついて行きますぜ!