本作のジェーン・フォンダが歴史的なアイコンであることは間違いないが、それに匹敵するのがジョン・フィリップ・ロー。澄んだ眼差しと適度に肉付きのよい身体に羽が生えた姿は天使以外のなにものでもない。その後20年を経て『ベルリン天使の詩』でくたびれた天使がフィルムに姿を現す。
ウーゴ・トニャッツィやマルセル・マルソーが無駄遣いのように登場するのも面白い。パントマイムの神様と称されるマルソーは台詞を喋っている。たしか『メル・ブルックスのサイレント・ムービー』でも一言台詞があったはず。
1960年代後半の狂騒的というか多幸的な雰囲気は、ジョゼフ・ロージー御大の怪作『唇からナイフ』やアンナ・カリーナの『アンナ』でも味わえる。この雰囲気を再現したのが『オースティン・パワー』シリーズ。
