18年間育てた息子が実は血がつながっていなかった－ そんな信じ難いことが実際に起こったらどう対処したらいいのだろうか。自分には想像できない。
この作品はそこをテーマにしていて、しかもイスラエルとパレスチナの間での事件との設定で事態はより一層複雑。
救いなのは息子が18歳で、自分で考えて行動できる年齢という事だろうか。
それでも民族間の対立は双方の家族、特に父親と男兄弟には顕著に表面化され、事態を受け入れるのには時間がかかる。
母親は自ら産んだ子と長年育ててきた子と両方に愛情を注ぐ。
それらを目にする当人は困惑し、それまで問題なく団結していた家族がギクシャクしだす－
血のつながりか、一緒に過ごした日々か。
ユダヤ人か、アラブ人か。
イスラエル(支配者)か、パレスチナ(被支配者)か。
富か貧困か。
是枝監督の「そして父になる」とはまた違った視点であり、色々なことが絡み合うとても重厚なテーマで興味深かった。
