Yukenz

アンダードッグ 前編のYukenzのレビュー・感想・評価

アンダードッグ 前編(2020年製作の映画)
3.9
以前から森山未來はかなり気になる俳優で、彼の出演作を見るのが楽しみになっている。
演技力だけでなく、改めて彼の身体能力の高さには驚かされる。勝地涼も北村匠海もこの作品の為に相当な厳しいトレーニングを積んだというのが見ていて分かる。

本作では、かつて日本ランキング1位だったという実績を持つプロボクサーの末永(森山)と、父親が有名俳優というお笑い芸人の宮木(勝地)が、本流ではいま一歩の現状に過去のトラウマや父親の不理解などが更に足枷となって戸惑い、迷走する。
生きていく為に脇道に入って何とか息を繋ごうとして足掻くが、末永は既に多くのものを失っていた。死ねないから生きているような状態で、自分でも分かっている。

そんな末永に謎の青年大村(北村)が突っかかってくるのだが、末永を慕っているのか、馬鹿にしているのか前編ではまだ掴みきれずにヤキモキする。

末永が宮木とのエキシビションマッチのあとに床に入って涙したのは、不甲斐ない自分自身への無念や悔しさからなのか、今までの自分と決別し新たな決意の兆候なのか。気になって仕方がない。

作品を一度見終えてから改めてストーリーを思い起こすと、特に前述の3人のドロドロした人間臭さが目の奥に浮かんで離れない。足立紳の脚本が絶妙にいいし、役者たちもそれに応えるべくいい演技をしている。末永と大村の関わり合いがどうなるのか、後編が楽しみだ。
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