変なことを口走る老婆の過去には、若い頃に男と不倫した悲劇的なことがあり...というお話
第一部は現在、第二部は過去の構成で進んでいく。単なる恋愛映画かと思いきやちゃんとミゲル・ゴメス監督らしい演出や時系列の操作が活かされており、なかなか面白かった。
本作はある女性の人生が、第一部では彼女の隣人の視点を通じて、そして第二部では若い頃に彼女と不倫していた男性の視点を通じて描かれる。映画の主な出来事は第二部に集約されていて第一部はそれに至るまでの前座的なパート。老婆である女性の人生はかなり平坦で、使用人の女性から部屋に閉じ込められ退屈な日常を送っている。その様子が映画自体も単調に、退屈にただ描写され続ける......しかし第二部に移ると一転し、人物のセリフの音声が一切排除されたサイレント調のメロドラマになるのだが、それが滅茶苦茶面白い。衝動的な不倫の顛末、とプロット自体はありきたりなものの、手紙でのやり取りを中心にしたコミュニケーションなどの演出は普通に良い。そして何と言っても射殺された男の視点から眺めたあのショット！凄すぎてビビった！！
言ってしまえばワンアイデア映画な映画なものの、ミゲル・ゴメス監督らしい演出が良い具合に効いていて面白かった！
