ワンコ

紅いコーリャンのワンコのレビュー・感想・評価

紅いコーリャン(1987年製作の映画)
4.0
【民衆の怒り】

※ レストア版リバイバル上映

この「紅いコーリャン」は、ノーベル文学賞受賞者・莫言(ばくげん)の「紅い高粱」が原作で、チャン・イーモウの初監督作品にしてベルリン国際映画祭金熊賞を獲得した作品だ。

1911年の辛亥革命で中国でも共和制がすすむと思いきや、日本の侵攻、国民党の一党独裁をめぐる動き、軍閥や共産党の台頭などで1920年代後半の中国は大きく混乱していた。

終盤の日本軍との対決に目が行きがちだと思うが、その前段となるコン・リー演じるチウアルが売られる同様嫁がさせるストーリーも、姦淫のような場面も、主人が亡くなる話も当時の中国に統一的な政府や、基盤となる社会的道徳的な規範などないに等しく、コーリャン酒に小便を入れて美味しくなったというエピソードからも分かる通り、無法状態に近かったことを表しているのだと思う。

そうした中で、中国の農村の人々が日本軍の進出に必死に抗い、自らの生きる糧を守り生きようとする姿がこの作品の中では生き生きと描かれている。
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