個人の意志を強制する、全体主義のおそろしさが希薄。
全体的にさわやかに描かれているが、苦みが描かれていないため、重みが感じられない。
また、死ぬなという怒りのメッセージはあるが、戦争映画としての意味だけで、現代に生きる人たちへの意味付けが薄い。
ラスト、笑みを浮かべる姿には爽快感を感じる。
【概要】
「言葉にはできない」
生き残った老人たちが語る、特攻兵だった祖父 宮部の姿は。。。
全体主義の中で、特攻指令を拒否し続けること。
周囲の大合唱の中で、個人の道を歩く。
同じことが私たちにできるだろうか。
そんな主人公を後ろから攻撃する味方の心情は、どのようなものだろうか。
やがて主人公も、特攻する。
「自爆テロと特攻は違う」
無抵抗の一般人に対する攻撃である自爆テロと、殺戮システムに対する攻撃である特攻は違う、と孫は言う。
先端装備に乗り換えた味方は生き残り、宮部として生まれ変わり妻と子と生きる。
一方、先端装備を使わないまま、殺戮システムに突っ込む主人公。その口元には笑みが。。。
我々はどちらの姿を見るのだろうか。
玉音放送を整列して聞いている軍人と、現代に生きる私たちの姿が重なって映る。