戦後79年…。久しぶりの再鑑賞。
公開当時から言われていましたが、今回改めて見返しても、私は戦争賛美は感じませんでした。
念の為ですが、私は戦争に対してはもちろん反対です。
先の戦争を風化させない為にも、時折り当時を振り返る事は良い事だと思っています。
作品の鑑賞に伴い戦争と真摯に向き合ってみましたが、最近の結論としてはニュートラルな感情を持って対峙すること。
一貫した軍事教育、当時の日本の様相を鑑みても彼らは何故逝く事ができたのか？
私はその答えを探しに広島や沖縄の平和記念館だけではなく、鹿野や知覧の資料館も行って来ました。
案内にはニュートラルな感じは得られず(広島は特に)真摯に響いたのは彼らが残した手紙でした。
手紙にはお国のため、天皇のためと言うワードもありましたが、愛する者、家族(特に母親)に当てたものが多かった印象です。
特攻することにより、自分の守るべき人達が、生きながらえ幸せになると信じ、死に対する恐怖を置き換えていたように思えます。
残された記録からも志願したとは言え、その恐怖心を完全に払拭できる人はいないと思います。覚悟を決めたようでも彼らは若すぎる…。
私は彼らの想い、精神は尊重したいです。
もちろん特攻を評価するものではありません
特攻は戦法としては人道的にも戦術的にも認める事はできません。「死んでこい」は命令の域を超えている。
ただ特攻の精神は彼らの純粋な想いだと思うんです。
特攻で逝った彼らには哀悼の意しかなく
決して無駄死にではないと言いたいです。
私がどれだけ価値のある生き方をしているか…。
決死の覚悟を決めた者、大義に疑問を感じた者、生きる事に未練を残した者、死んでいく仲間に申し訳ないと思う者、恐怖心に覆われた者、感情はそれぞれだったと思います。
本作の主役、宮部久蔵の考え方の変遷は特攻隊員すべての感情を具現化していたようにも思えます。
別の角度からの本作の評価はCGによるゼロ戦等の表現。素晴らしいです。
主人公を演じた岡田准一をはじめ、その演技にリアリティを演出しています、
また、ラスト付近、登場人物がアップになりながら語るシーンは圧倒させられる迫力があります。
三浦春馬が見渡す日常的な景色…。
そこに彼らの望んだ平和があるのだと思います。
ゼロ戦を操縦して健太郎(三浦春馬)の前に現れた宮部の敬礼の意味は、次に繋げる永遠の平和を託したものだと思います。
それがゼロ戦で逝った皆な願いだと…。
平和な社会。本当の意味の平和を考え作り上げて行きたいと強く思います。
ラストの宮部の表情…。原作にはないシーン。
私はあの表情を愛した人へのケジメをつけ
その卓越した飛行技術により戦果を確信した
戦う男の不敵な笑みに思えます。
それもまた、恐怖の克服の表現…。
当事者にしか分からない複雑な心境の現れだと思いました。
一度、過去に得た知識をニュートラルにして、自身の見解でジャッジしてほしい作品です。
