デニロ

リアル 完全なる首長竜の日のデニロのレビュー・感想・評価

2.5
黒沢清監督といえば『CURE』。追い立てられるような気分であのラストシーン。日常的な動きの中にあるファミレスの中で、ひそかに何かが起こっているのではないかというざわめきがあった。
その後の作品にそれといった感慨も得ず、もはや付き合いで仕方がないから観るという位置になってしまった。

劇場の予告篇を観て、これは観なくてもいいな、と。が、しかし、監督黒沢清、と出てしまった。仕方がない。また騙されるんだろうな。

長い。

途中で『胡蝶の夢』ではないかと思ったが、果たしてそうであった。

それにしてもちんけな機械で他人の脳内に入っていく場面には呆れ果てた。勘弁してくれ。省略のし過ぎ。中谷美紀、堀部圭亮の医者は、職業倫理的にだいぶおかしい。マッドサイエンティストというわけでもなさそうだ。

雰囲気は『ターン』に似ているが、迫りくるサスペンスは到底及ばない。まさかの首長竜を出したところで、興醒め。

ラスト。佐藤健の目覚めがフィロソフィカル・ゾンビとしてのものであるとすると、物語自体がトートロジーと化して、いったい誰の意識下の仮想なのだろう。

ここのところ、身の回りの人々に映画を観た感想を喋るんだけど、何でつまらない映画ばかり観るんですかと、突っ込まれる。観た映画がつまらなかったんです。
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