Kumonohate

吸血蛾のKumonohateのレビュー・感想・評価

吸血蛾(1956年製作の映画)
3.4
東京を舞台にした、ファッション・デザイナーを巡る猟奇殺人事件。「地方」「旧家」「因襲」のイメージが強い他の横溝正史作品とは趣を異にする。それだけに、池部良が演じるスーツ&スタイリッシュ&イケメン金田一耕助は、恐れていたほどの違和感は感じない。

とはいえ、それは金田一の出番がさほど多くないからでもある。前半は全く出て来ない。登場してからも、ニヒルな物言いで「それは違うんじゃないですかね」などと、“俺にはわかっている”風を吹かせるだけで、一向に事件の解決に役立っていない。その印象の希薄さゆえに、池部金田一は成り立っているのかもしれない。

物語の方は、エログロが適度に混じっているし、意表を突くドンデン返しもあるし、伏線が複雑に絡みあっているし、悪くない。しかし、それだけに、金田一のタネ明かしパートがマッハすぎてついてゆけない。
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