「※ここからはノーカットでお送りします」
この"フェイク"なテロップにより、白石晃士監督の虜になった。
初鑑賞は10年前の2013年。それから何十回観たことか。
今でもオールタイムベスト級。
廃校に聖地巡礼も行った。
低予算でもアイデアと熱量でここまで面白いものを作れるんだという意気込みとそれに見合いするテクニック。
泣いたんだ。号泣したんだ。この低予算ホラー映画に。
FILE04から見始めていい。(だって自分がそうだったし。)とにかくこれは観てと激推しの一作。
-----ネタバレ含む感想-----
ネタ的に思われがちなコワすぎシリーズだが、FILE04を観てガチで号泣した私が、なぜ号泣したかについて書いておこうと思う。
「後悔」が本作の根幹にある。
中学の時、菜々は英里をいじめていた。
『あの時いじめなんてしなければ』。。。
という後悔。
過去の罪が、花子さんとなって襲って来る。
悪ふざけで始めた肝試しは、英里の自殺という最悪の結末を迎える。
『花子さんに会いになんか行かなければ』。。。
また後悔だ。
私のせいで英里が死んじゃった。私のせいで。
しかし、この映画の突出すべき展開はそれからだ。
なんと、過去に戻って英里を救える可能性があると言う。
元の世界に戻れなくなるかもしれない危険な選択だが、英里を救える可能性が少しでもあるなら「行くしかねぇ」と突き進む。
花子さんは後悔の具現化だ。
花子さんは怖い。幽霊は怖い。あの時はごめんと懺悔するのは怖い。でも。英里を助けられるなら。
あの日の後悔に立ち向かうべくノンストップで走る。(なんなら、立ち向かうどころか花子さんの中に入ってく。)
取り返しのつかない「後悔」という感情に対して、こんなに向き合って奮い立たされる映画を他に知らない。
もしかしたら取り戻せるかもしれないという傍から見れば馬鹿げた奇跡とも呼べる確率の一筋の可能性に賭けて「恐怖」に立ち向かう大傑作。
加えて、前述した
「※ここからはノーカットでお送りします」
というテロップにやられた。
私はホラーが大の苦手であり、本作もこまめに一時停止しながら再生していた。暗闇のシーンで物音がするだけで怖い。恥ずかしながら。
そこで出てきたこのテロップ。
「まじかよ!?」と興奮した。そっちがその気ならという事でこちらも一時停止から手を離して一気に観た。
その姿勢はさながら花子さんという恐怖に立ち向かう登場人物とリンクした。
気付けば号泣していた。
止まらない時間を、あの日の罪を、もしかしたらの可能性に賭けて時空を遡って贖罪する。