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ミッシングのlsloveu3のレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
4.1
「虎舞竜..。」

それがだから何だっていうんだという話だが、確かにこちらも思っちゃった事。
こんなところを描きますか!?

『純喫茶磯辺』で
「なんかアレだし」「だってアレじゃない」
という風に「アレ」を多様した台詞が出てきて、なんだこの監督と思った記憶。

『ばしゃ馬さんとビッグマウス』では、悲しい音楽を聴いてベッドで泣きじゃくりたいのに好みじゃない音楽が流れて、一度起き上がり悲しい音楽に切り替えてまたベッドで泣き直す、という描写があり、唸った。

普通の脚本、というか他の脚本では絶対にあり得ない日常の空気感を映し出す。

そしてそれを台詞だと言う事も忘れさせる石原さとみの演技力。

娘が見つからずドロドロに泣き叫ぶ母の姿をテレビカメラが撮り、それを映画カメラが撮るという構図。
テレビカメラからは演技じゃないドロドロの本音、かつ、余計なノイズ(虎舞竜のような意図せず意味がかかっちゃうノイズ)は省くよう要求される。という演技を映画カメラから要求されている。

構造が多重でおかしくなりそうだが、これが成立しているのは石原さとみがとんでもない次元の演技をしているからだ。娘が行方不明の母が実際に映っているようにしか見えない。石原さとみが「演技をしている」という事すら忘れさせる名演だった。

追記.
テレビはクソ、YouTubeはクソというような他映像媒体を腐す表現が前作、前々作から三連続で続いているのはどういう憎しみからなんだろう。
そんな事言ってる間に映画というメディアも終わっちまうかもしれないよ仲良くしようよとちょっと思った。
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