フランス語を勉強していた学生時代、初級文法を終えるとすぐ、週一回の作文を課され、毎回真っ赤に添削されて返されたのを思い出した。作文の形式や書き方にも細かい指導があり、あの国には厳格な作文指導のメソードがあるのを知った。
この映画の教師も、きびしい作文指導の典型。文学の伝統への崇拝、揚げ足を取るような口うるさい指摘など、学校の先生のプライドと高慢をうまく描いている。
リセには珍しく、生徒に制服を着せている。一定の型や枠にはめようという意図は制服にも作文にも共通する。
クロードの作文が、規定の枠を超えてだんだんに奇想天外の色を帯びてゆき、いつの間にか現実の平穏な日常生活を脅かすほどの危険なリアリティを持つに至るまでの過程が面白かった。生徒を完全に支配しているように見えた教師が、最後にはクロードの文章に翻弄される。テクストが現実に隷属した状態から抜け出て、逆に現実を変えてゆく力を持つようになる。
ラファの奥さんが無駄に色っぽくて、出てくるたびにドキドキした。