甘味

ばしゃ馬さんとビッグマウスの甘味のネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

吉田恵輔作品、三本目。
夢を叶える映画は多々あれど、逆に「夢を諦める」って事をここまで真摯に、丁寧に描いた映画を観たのは初めてかもしれない。エンドロール眺めながらじわじわ込み上げてくるものを噛み締めていた。

後でばしゃ馬さん馬淵は吉田監督、ビッグマウス天童は共同脚本の仁志原了氏がモデルになっていると知り、二人のリアルな経験や心情がそのまま反映されてると分かって胸が熱くなった。道理でやたらと繊細で誠実に映る訳だ。

そして昨年の夏に仁志原氏が45歳の若さで急逝されていた事を知り、今更ながらショックを受けた。
吉田監督とコンビで、これからも面白い作品をたくさん書いて頂きたかった。残念でならない。

天童「夢を叶えて田舎に好きな女を迎えに行く天才作家の物語、どう思う?」
馬淵「…寒っ」

他作品同様、本作も物語の締め括りが最高に上手いなぁって感心してたけど、次観る時はきっとこのラストシーンで号泣する事になるんだろう。いや、二人が脚本を書き上げた時の「了」の文字でもうダメかもしれない。

脚本家・仁志原了さんのご冥福をお祈り致します。どうか安らかに。
甘味

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