KnightsofOdessa

ザ・ウォー・ゲーム(原題)のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

4.0
No.434[冷戦が直接戦争になるとき] 80点

”怪しい勧誘に注意”だとか”オレオレ詐欺の被害”みたいな被害報告PV的趣の作品だが、それにしてはあまりにリアルで寒気がする。事実に即していないとの指摘を散見するが、詳細のグロ報告によって視聴者が離反することよりも核の恐怖を伝えることに終止しているその姿勢は正しいと思う。すべて事実に即した報告も勿論正しいが、それは正しいだけであるように思える。

前半1/3は戦争前の訓練やシェルター建設などを映す。核戦争を本気にしていない国民はどこかのんびりしているし、それが普通だと思う。残りの2/3はソ連が核爆弾をイギリス本土に落としまくった後の一般市民の生活を映す。爆風や火災で亡くなる者、火傷で亡くなる者、放射線被害で亡くなる者、そして暴動に発展し総てが機能しなくなる世界がやって来る。

かつて原爆実験に参加したアインシュタインは兵器の進化に関連した”第三次世界大戦はどのような武器が使われるか”という質問に対して”三次は知らんが四次は分かる。石と棍棒だ”と答えたように、核爆弾が文明を拭い去ると警鐘を鳴らしていたことを思い出す。

結局の所、核で遊びたがるのは政府高官とハリウッドだけであり、実害を受けるのは一般市民に他ならない。印象的な”報復を望むか”という質問に対して、全員が”私は望む”と答えることで、世界中の文明は拭い去られ、世界には更地が残る。
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