ほわいと

ゼロ・グラビティのほわいとのレビュー・感想・評価

ゼロ・グラビティ(2013年製作の映画)
4.2
去年に一度、今年の元旦に一度行って、結果的に二回観に行った。
一度目は面白かったけれど、イマイチ期待していた以上のものを観た手応えはなかった…今にして思えば、観に行く前にハードルを上げられ過ぎていた、口コミによって!(笑)こっちもどれだけ驚かされるのかと身構えていたし、それを期待してしまった。
そんな感じで微妙だと思ってしまったけれど、また観ることにした。二度目は落ち着いて観ることが出来たのもあったのか、一度目よりも楽しむことが出来た。

凄い映画ということは確実に理解できる、ただこれをテレビで観ても面白いかと言われると疑問に感じてしまうところがある。
3Dで観なくても映画的な技術でいうと、見たことがない斬新なものばかりなのは分かるだろうし、終始「どうやって撮っているんだろう」という疑問でいっぱいだった。
でもあの無重力体験を3Dという特殊なものを通して味合わないと「意味がない」まではいかなくとも、かなり物足りないものになってしまうんではないか…3Dテレビがある環境の人は置いといて(笑)
だから「今観なくてはいけない」という意識がかなり強いのもあって、二度観に行ったのが大きい。後々、劇場へは行かず、DVDでこの作品を観た人で「微妙だったわ」と言う人は確実に出てくると予測できるけど、まぁ腹が立つ人は多いんじゃないかと思う(笑)

実は3Dで観たのは「アバター」以来で、これほどまでに3Dは素晴らしいものなのかと再認識するとともに、今まで3Dで観なかったことを後悔した…まぁなかなかそれに見合った映画はない気がするんだけど(笑)
って前置き長くなってしまったので本編のことを…

これまで数々のSF映画が面倒な重力の描写を避けてきたし、こっちもそれほど気にはならなかった。しかし、この映画ではそれと真摯に、というよりそれのみに焦点を絞っている。
この映画によって今後"SF"というジャンルを作るにあたって、ハードルを上げられてしまったんじゃないかと思う。これから、この作品を超えるSF作品を作るのはなかなか難しくなりそう。"リアルSF"ジャンルでも流行ったりして。

この作品では「無重力」の怖さをとことん教えてくれる。主人公のライアンも最初は「無重力」の良さを語っていて、「静けさ」を挙げていた。それだって危険に繋がるもので、音が聞こえない恐怖もちゃんと描かれている。ライアンの「無重力」へのキレっぷりには笑った(笑)
観終わった後に重力がいかに素晴らしいものかというのを誰もが感じられるであろう怖い作りになっていて、特に一番初めにライアンが投げ出されるシーンは思わず泣いてしまった。体感として、そんなに怖いと感じてないはずなんだけど…しかも、二度目の鑑賞でさえ泣いてしまった、どいうことなんだ!自分でも分からない!(笑)

全体的にスリラー/ホラー的でありつつ、ヒューマンドラマでもあって、終盤はとてつもない高揚感に溢れていて、ものすごく感動した。
ラスト、砂浜に倒れかかり笑うライアン、重力を感じたことへの笑みが良い。

音楽も色んな場面で凄く効果的に使われていたと思う。
不協和音やダイナミックな音、全てシチュエーションに完璧にマッチしていた。
スティーヴン・プライス、これで一気に名を挙げていきそうな人物。

サンドラ・ブロックは身体のラインが凄く綺麗!修正しているであろうけど、あれが齢五十に近い肉体とは…主人公が女性だったこともこの映画の成功点(に違いない!)。
ジョージ・クルーニーは言うこと言うこと、格好良過ぎて、凄い良い役もらったなと…惚れないわけがないじゃないか!
元々好きだけど、あんな状況下で助けてくれるジョージ・クルーニーの格好良さったらない。

複雑にしても仕方ないんだけど、やはりストーリー的にはシンプルで、3Dの効果が大きいところもある。
でも素晴らしい映画には変わりないと思います。
あと、この作品は「生命」についての映画だと思った。劇中の分かりやすいメタファーのあるシーン(ライアンが母胎の中にいるかのような美しい場面)やライアンの生きようとする生命力に溢れる姿に高揚したので。