プライムゼウス

ハンナ・アーレントのプライムゼウスのネタバレレビュー・内容・結末

ハンナ・アーレント(2012年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

アーレントを聞いたことある人なら、肩すかしをくいます。知らない人は、社会学特有の、もやっと感が残るのでは。ナチスの戦犯をレポートしたユダヤ人の学者が、ナチス寄りのものを書いたと誤解され、世界中からバッシングを受けたという内容。彼女は、ナチスの悪は、平凡な人が法の範囲で実務的に行ったことである、と主張。ユダヤ人の当時の状況を考えれば、そんな書き方をすればバッシングは当然なのに、カット。アーレント目線のみで進行、孤立してゆく。と思いきや、夫は支えてくれるし、秘書は有能だし、弁の立つ友人もいるし、学生からは拍手喝采をうける。夫の病気など、リアルに彼女の半生を描くかと思いきや、悪の人物や善の人物といった戯画キャラが登場。ハイデガーとの恋も、中途半端。アーレントの悪の凡庸さに対する思考の過程を知りたいのに、煙草を吸うだけ。アイヒマンもアーレントも知らない人への入口としてはいいかもしれないが、映画としてはいまいちです。