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ジョン・トラボルタの プラスチックの中の青春のakrutmのレビュー・感想・評価

3.6
生まれながらに重度の免疫不全のために、普通の環境で暮らすことができず、殺菌された環境でしか暮らすことのできない青年を描いた、ジョン・トラヴォルタ主演、ランダル・クレイザー監督のTVドラマ映画。ジョン・トラヴォルタとランダル・クレイザー監督は本作の2年後に『グリース』で再びタッグを組むことになる。

重症複合免疫不全症という病気のために、室内に設けられたビニールハウスのような場所に入ったままで、外出するときにはプラスティックでできた移動式ショーケースのようなものに入っていなければいけないという境遇は、本当に辛そうである。特に、現在のコロナ禍だからこそ、この病気の辛さがより実感できるかもしれない。まん防による外出制限や行動制限なんてウンザリだと世間は文句を言っているが、所詮は期限付きでいずれは終わることである。一方で、免疫不全症の人たちは、一生の間ずっとバブルの中に入ったままで、とても厳しい行動制限を受けるのである。

このようなテーマを扱っていると聞けば、難病→感動モノ映画を想像してしまうかもしれない。でも、さすがはビバヒルやチャーリーズ・エンジェルのアーロン・スペリングが製作しただけあって、終始爽やかな青春映画のような出来になっていて、それが自然に許せてしまう映画である。ジョン・トラヴォルタは『サタデー・ナイト・フィーバー』でフィーバーする直前の、TVドラマで注目され始めた頃の初々しい若さが(でもときどき馬鹿っぽくも見えるのも)印象的。ラストシーンも、よくよく考えると、とても危険なことをしているのだが、これまた典型的な爽やか青春映画のような終わり方である。

そして青春映画に欠かせないのがヒロインであり、本作では隣の家に住んでいる同級生の女の子が登場する。グリニス・オコナーという女優が演じているのだが、これがあまり可愛くなくて、ヒロインとしてはちょっと役不足な気がするのが残念。前半に見せる意地悪キャラが似合うので、せいぜい主人公カップルを邪魔する脇役くらいが適切だろう。それが理由というわけでもないだろうが、本作をきっかけにジョン・トラヴォルタが私生活で恋に落ちるのは、彼の母親役を演じた18歳年上のダイアナ・ハイランドなのである。不幸なことに彼女は本映画が公開された4ヶ月後に癌で亡くなっているが、そのときまで一緒に暮らしていたそうである。
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