き

新しき世界のきのネタバレレビュー・内容・結末

新しき世界(2013年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

いつも前情報を入れないスタイルなのですが、本作も例によって評判だけ聞いて気になり鑑賞。
その為最初、導入部分からこれは同じ韓国映画の《インサイダーズ》のような痛快サスペンス系かと思っていました。
実際観てみると、その色もあるものの、それよりかは大分人間の内面にフォーカスしたヒューマンドラマ系に思いました。
警察官であった主人公、イ・ジャソンがヤクザの組織に潜入捜査していくうちに、自分の素性を知らないヤクザもの(チャン・チャン)と擬似兄弟のような関係になり、絆を深めていく。
2人の「華僑同士」という境遇など、全編を通して彼らの絆の根源にあるものを垣間見させるところが余白を生んでいてうまい。
そしてラストシーンの持ってき方が秀逸!
エンドロールに素晴らしい余韻を残しています。

韓国ノワールらしいちょいキツめ(かといって直接的すぎる描写を上手く避けているところが個人的には好き。想像の余地を残すところがより生々しさを生んでいるように思います)の暴力シーンも多めで見応え十分。彼らの生きる世界と、いわゆるカタギの世界の違いを明確に浮き彫りにしている。
その世界を飛び越える事は作中のジャソンの葛藤からも推して知れるようにとんでもないこと。それでもこの《新しき世界》に身を置く覚悟をしたジャソンの心境を思うと、またこの映画の深さの一端を知れたような気になります。

それにしても韓国映画は音楽が良い。
それなりに音楽が目立つのに画面と馴染んでいるのでより感情に訴えかけて来る。
これはハマってしまうなぁ…。

ジャソンとチャンの所謂ブロマンスといえる関係に思わず魅せられる、良作でした。
き