尿道流れ者

リアリティのダンスの尿道流れ者のネタバレレビュー・内容・結末

リアリティのダンス(2013年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

23年間という月日はあまりにも長かった気がする。カルトの帝王の手法ももはやスタンダードとなっているのか既視感もあるし、あまり刺激的ではない。フリークスやボディペイントなどいわゆるホドロフスキー節もエルトポやホーリーマウンテンの頃からイマイチ進化が無くて、高品質で面白いが残念な気持ちも多かった。映画のテーマやそれに対するアプローチも既視感が拭えず、他の監督でも出来そうと思ってしまい、唯一無二感はなかった。

前半はサイケデリックに描かれる自身の子ども時代の記憶がメインで、後半は父が中心の家族の物語となる。父親は家族に対して独裁的で息子に勇敢に生きることを強いる嫌な感じで、母親は息子に自分の父親の姿を重ねる爆乳オペラというめんどくさい家庭。息子はそんな居場所のない孤独感を感じているが家族は好きで、時々挟まれる家族とのふれあいはなんか良い。前半は痛いシーンも多いが笑えるところも多く、母の父親の回想シーンは巻き戻して何度も観たい位好きだった。あとおなじみの聖水シーン。

いわゆる原初療法の形で、昔の記憶を呼び起こすことでホドロフスキー自分と向き合い理解するという意識の流れを映像にしたもので、原初療法といえばジョンレノンで有名だが、映画の中にもジョンレノンのような見た目の人が出て来る。このジョンレノンと主人公のお父さんが共にした行動がきっかけで独裁的だったお父さんも自分と向き合い変わっていく。その変化は感動的だが、ここが長かった。拷問のシーンとか面白くないし、もっと短くして欲しかった。

僕的にはハマらなかったけど、レンタルで観ることもままならないホドロフスキーの映画がスクリーンでハイビジョンで、しかもアップリンクなら無修正で観れるなんて幸せだった。絶対見逃してはいけない映画だと思う。次回作も作成中みたいなので楽しみ。