凛太郎は元柚彦

セブン・サイコパスの凛太郎は元柚彦のレビュー・感想・評価

セブン・サイコパス(2012年製作の映画)
3.8
「セブン・サイコパス」というタイトルの脚本を執筆中のマーティは、行き詰まっていた。
そんな彼を助けようと親友のビリーは、新聞に「サイコパス募集」という広告を勝手に出してしまう。マーティの前に次々とイカれたサイコパスが現れるが…。

サイコパスあるある その1 - 人が死ぬことはどうも思わないが犬や動物を大事にしがち。
サイコパスあるある その2 - 価値基準が非社会的なだけで信念がある人間が多い。
サイコパスあるある その3 - 世間に溶け込み、正体を隠すのが上手い。
世にサイコパス診断とかいう悪しき文化が出回ってるせいで勘違いされやすいが、サイコパスは別に異常者じゃない。
そもそも人間の本質とはサイコパスだ。じゃないと弱肉強食のサイクルの中心に立つのは難しい。何万年にわたり己の欲求を満たすために女を犯し、他の種族を虐殺し、権力を奪い合ってきたのが人間という種だ。社会から法律や教育が消えてしまったら、もはや人間はライオンや猿と変わらない。
幸か不幸か、社会の洗脳を受けず、周りの価値観にも左右されずそのまま大人になってしまった人間。それを世間はサイコパスと呼ぶ。
この映画では、ただのドタバタアクションかと思いきや、本物のイカレサイコパスの生き様を描いているから素晴らしい。
七人目のサイコパスの正体が明らかになるシーンでかっこよすぎて鳥肌立った。なんだよ、あの演出はズルいわ。
軽快なクライムコメディ映画にも関わらず、崇高な文学を読んだような余韻が残る良作だった。
これで一応マーティン・マクドナー監督の作品はコンプリート。俺的にマクドナー監督の作風はコーエン兄弟に似てる気がする。
サム・ロックウェルとウディ・ハレルソン目当てで期待してなかったが、思わぬ掘り出し物だった。