安堵霊タラコフスキー

悪夢の香りの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

悪夢の香り(1977年製作の映画)
2.9
キドラット・タヒミック特集で一番期待していた彼の代表作だが、ちょっと期待外れの出来に白けてしまった。

というか最初の橋の場面とかは中々惹かれるものがあったのだけど、どんどん演技や編集の稚拙さが目立つようになってしまい展開も支離滅裂だから途中で疲れてしまった。

面白い場面も記憶に残るレベルだと上述の最初の一連やベルリンのオニオンタワーの箇所(塔が建つときに赤ん坊の声が響く演出は中々印象深かった)、あとは終盤の廃墟での長回し程度しか無く残念に思ったけど、これはもしかしたら彼の演出や撮る映像の質感が情感を意識したものではなくて自分の好みに合わなかったからというのもあるように思えた。

ゴダールの女は女であるを見て自由な映画は素敵だと思ったけど、あれはゴダールの卓越したセンスと常軌を逸した遊び心があったから良かったもので、突飛でも映像センスが今一つだと拙い印象に終わってしまうというのを今回思い知った。

あと後付けの英語音声も耳障りとすら思えるものだったのだけど、監督自身がつけたのだとしたら少しセンスを疑ってしまう。