悪夢の香りの作品情報・感想・評価

悪夢の香り1977年製作の映画)

Kidlat World Mananangong Bangungot/Perfumed Nightmare

上映日:1996年11月30日

製作国:

上映時間:95分

ジャンル:

3.7

「悪夢の香り」に投稿された感想・評価

おふざけ映画のようで、たまらなく何かを言いたそうな映画。


3Dというものが現れ、IMAX登場、昨年から今年にかけてはDOLBY CINEMAが話題になり、さらにSONYが新しい上映なんたらをーてのをTwitterで今日見かけました。

そんな時代の中、フィルムの映写機をカラカラと回しての上映。
映写機の調子が悪くて中断したり、埃が入って中断したりで、「かつて映画は生だった」という言葉を初めて体験できて少し興奮しました。

と、まあなんでこんなどうでもいいような事を書いたかといいますと、この映画に通じるものがあったからなんです。


次々と新しいものが生まれてどんどん進歩していく、そんな世界に憧れを持って大都市🇫🇷にやってきたキドラット(キドラット・タヒミック)は、かつてお父さんが知ってしまった真実に辿り着きます。
その様をずっと観てきたものだから、終盤でキドラットが選んだ車自体はスクリーンには映されないけど、彼が何を選んだのかはすぐ分かるんです。

そんな彼のひと旅行を見るに、進歩にばかり目を奪われず、やはり立ち返るということは絶対に重要で必要なことだと思いました。

そしてそれらを鑑みると、序盤には無意味に思えたシーン等が実は結構重要なもので、初めから伏線を張りまくっていたことに気がついたので、色々含めてもう一回観たくなりました。

本当に好きな感じの映画でした。
smmt705

smmt705の感想・評価

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進歩というおばけ!確かに!進歩はおばけな気がしてきた!マーケットはスーパーマーケットになり、ジェット機はスーパージェット機になり、どこまでスーパーを目指していくのか分からないこの資本主義社会。天井が見え始めたような昨今において、この問いはタイムリーでありました。あと、タヒミックさんめちゃくちゃかわいい。
とても見易いものだったが、上映事故回に当たったのでなんか解せない気分。3回も映画が止まって10分強押した。
埃が映写窓に詰まるとか、映写機のメンテしてないのか…?フィルムが由来のトラブルじゃなくないか…?
それはそうと、進歩という西洋的概念についての脱構築的な論法に舌を巻いた。論法というと弁論が繰り広げられるかのようだが、進歩という画面表現として橋が効果的に使われていたり、音響効果としては、ニール・アームストロングの月面着陸時の名言が西洋の進歩的な価値観の象徴にされたりと、映画という枠の中で非常に考え抜かれている。
キドラット・タヒミック特集で一番期待していた彼の代表作だが、ちょっと期待外れの出来に白けてしまった。

というか最初の橋の場面とかは中々惹かれるものがあったのだけど、どんどん演技や編集の稚拙さが目立つようになってしまい展開も支離滅裂だから途中で疲れてしまった。

面白い場面も記憶に残るレベルだと上述の最初の一連やベルリンのオニオンタワーの箇所(塔が建つときに赤ん坊の声が響く演出は中々印象深かった)、あとは終盤の廃墟での長回し程度しか無く残念に思ったけど、これはもしかしたら彼の演出や撮る映像の質感が情感を意識したものではなくて自分の好みに合わなかったからというのもあるように思えた。

ゴダールの女は女であるを見て自由な映画は素敵だと思ったけど、あれはゴダールの卓越したセンスと常軌を逸した遊び心があったから良かったもので、突飛でも映像センスが今一つだと拙い印象に終わってしまうというのを今回思い知った。

あと後付けの英語音声も耳障りとすら思えるものだったのだけど、監督自身がつけたのだとしたら少しセンスを疑ってしまう。
とても不思議な映画だった。文明や進歩といった概念をあつかいながら、決して説教くさくない。あと若い頃の監督(主演)の髪型がカワイイ。(今、現在の監督の髪型はなんだか違う意味でスゴイ)
「アジア・インディペンデント映画の金字塔」という宣伝文句には納得。
宇野港芸術映画座にて
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