ヨアヒム・トリアー監督作品…初鑑賞です…。
ラース・フォン・トリアー監督の甥であり…叔父さんに負けず劣らずの鬱作品…。
原作はルイ・マル監督の『鬼火』同様、ピエール・ドリュー・ラ・ロシェル『Le Feu Follet』(ゆらめく炎)…原題は『Oslo, 31. August』…。
冒頭…スナップショットのようなオスロの街…。
様々な人物の思い出が語られます…"郷愁"と言うよりは"哀愁"がとてもよく似合う北欧の思い出の断片…。
麻薬中毒患者のための治療施設で生活をしながらリハビリを受けているアンデルシュ(アンデルシュ・ダニエルセン・リー)…。
出所を間近に控えたある日…ポケットに溢れんばかりの石を詰め、大きな岩を抱えて湖に入水自殺を図ります…しかし失敗…。
その後、外出許可を得た彼は就職の面接の為、故郷のオスロへ戻り、かつての友人たちを訪れます…。
「ありのままの自分を受け入れて欲しかった」…アンデルシュの想いは友人には届きません…。
友人との別れ際、ふと後ろを振り向くアンデルシュ…背を向けて歩く友人の姿を見て…絶望に近い歪んだ表情を浮かべます…。
繊細に丁寧に描かれているにも関わらず、それはとてもドライで現代のアップデイトされた人間関係の希薄さも映し出します…。
コスパとタイパで人と接する時代…。
一見すると友人に恵まれているようにも見えるアンデルシュですが…心底分かち合える親友は不在…。
主役を演じるアンデルシュの悲しみ、怒り、微かな望み、諦め…そして受容…それぞれの表情に吸い寄せられます…そして演出も素晴らしい…ただ、とてもとても暗く重い…北欧の素敵な自然が彼の孤独感を更に浮き彫りにします…。
フィル友様(みんと様)の助言により『鬼火』より今作を先に鑑賞…順番が逆なら、『鬼火』のインパクトが強すぎて今作が霞んでしまうかも…。
今作が決して悪いのではなく…作風がとてもナイーブで優しい…しかし後を引く重さも…。
thanks to; にゃすにぃ ✮꙳ 𓂃 𓂂𓏸
thanks to; みんとしゃま ✮꙳ 𓂃 𓂂𓏸