平凡な日常を写し取った、非凡なる傑作。ここまで絶賛されるのも、まあ納得できる。ある女性がただひたすら家事をこなすだけの3日間に、なぜか時間を忘れて引き込まれてしまった。
単調、変調、そして失調。初めの異変を確認したのは、彼女が売春で稼いだ金を入れておくツボの蓋を閉め忘れたところ。その後、まるでパンドラの箱が開いたかのように、少しずつ日常に綻びが生じ始め、ついに「災い」が訪れる。
乱暴に皮をむかれるジャガイモ、流し台に棄てられるコーヒー、抱きかかえるたびに号泣する赤ん坊、地面に落ちるフォーク、荷物をほどくために取り出すハサミ。不穏な空気が常に付きまとう後半は、もはやホラーの領域ですらあった……とはいえ、何よりもおそろしいのは、これを25歳の監督が作り上げたという事実だ……!!