床ずれ

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマンの床ずれのレビュー・感想・評価

5.0
極めて日常的な、だが計算され尽くした反復とずれの劇に感動した。
日々の単調な生活は繰り返されるように見えて、僅かな細部に差異が宿る。そこにこそ変化が生成し、やがて取り返しのつかない出来事が引き起こされる。
それを見届ける歓びは、ほとんど小津安二郎を見ているときの快楽に似ている。
部屋の中を行ったり来たり、電気を消したり点けたり反復していく運動は、まさに小津のそれであった。
そして日常の平凡な動作を長時間かけて丁寧に映し取るさまは、ツァイ・ミンリャンを見ているときの快楽に近い。
わたしの好物が詰め合わされたかのような映画で、文句なしで最高でした。
床ずれ

床ずれ