床ずれさんの映画レビュー・感想・評価

床ずれ

床ずれ

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荒野の決闘(1946年製作の映画)

4.0

流石に面白い。
西部の砂漠に聳え立つ木造の教会の塔を見て、『オッペンハイマー』でのトリニティ実験の塔を不可避的に想起する。
ヘンリー・フォンダとドクとの初めての出会いのショット・切り返しショットの「1
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サンタクロースの眼は青い 4Kデジタルリマスター版(1966年製作の映画)

4.0

ナルボンヌ訛りのキツい若者たちの間で、標準のフランス語を喋るジャン=ピエール・レオーの拭きれないパリジャン感が、田舎町のなかで浮いていて、それがかえってレオーの疎外感を浮き彫りにして切なかった。
クリ
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わるい仲間 4Kデジタルリマスター版(1963年製作の映画)

3.5

財布の中に赤ちゃんの写真を入れておけば、紛失した時帰ってくる可能性が高くなるという話を10年以上前にホンマでっかTVで見たことあったけど、ホンマだった。

愛のまなざしを(2020年製作の映画)

4.0

万田邦敏は「空間の詩人」だということがよく分かった。
精神医学を主題とした映画だが、『夜明けのすべて』が「ガチ」な映画だったとすれば、この映画はあまりにも作り物めいていて、キッチュで悪趣味だ。
まず、
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賭博師ボブ(1955年製作の映画)

4.0

カッコ良すぎたのだが、賭博師ボブことロジェ・デュシェーヌをググっても知名度が低くて意外だった。
細かいカット割り。そこで割る必要ある?というのも多いし、意図的「つなぎ間違い」やジャンプカットさえも見る
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A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

3.0

前に付き合っていた彼女の部屋でも頻繁にラップ音やポルターガイスト現象に近いものが起きていた。もしかしたら元カノの元カレの亡霊だったのかもしれない。

それなりに感動はしたが、はっきり言って退屈だった。
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サン・ソレイユ(1982年製作の映画)

-

1982年の日本は、この国が最も輝いていた瞬間なのではないかと勝手なイメージを抱いている。
フランス人による日本見聞録というと、ロラン・バルトの『記号の国』を真っ先に思い出すが(さらに古くだとピエール
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時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!(1993年製作の映画)

5.0

最近、天使のように生きようとしている大人しか信じないようになってきた。

気のいい女たち(1960年製作の映画)

4.8

すごく変な映画だったけどすごく面白かった。
フランス版『甘い生活』といった空気感、というか、全体的にイタリア映画的な退廃的雰囲気と刹那的享楽が漂っていた。
夜10時過ぎに突然みんなでプール行こう!とな
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現金に手を出すな(1954年製作の映画)

4.5

なによりジャン・ギャバンのダブルスーツが激渋すぎる。すでに良いもの着てるのにもかかわらず、女から電話で食事に誘われると、「着替えて 30分後に行くよ」の一言。
それから、ダンディな男2人がパジャマに着
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

5.0

ほわー

もしもロックスター社がタランティーノを総監督にGTA69を作ったら、という感じでもあった。

シャロン・テートに限らず、若くして亡くなっていった69年の若き英雄たち(その中にはジム・モリソン
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少女ムシェット(1967年製作の映画)

4.5

ムシェットの他人から突き飛ばされる身体の動きが印象的だった。いつも残酷な大人たちに不意打ちを喰らう少女。唯一、遊園地のゴーカートのシーンだけ突き飛ばされるのを楽しんでいて、そのときのムシェットの笑顔が>>続きを読む

新学期・操行ゼロ(1933年製作の映画)

3.5

なんか、『ハリーポッターと賢者の石』みたいな雰囲気の映画だった。冒頭の、学校へ向かう汽車の中から始まり、個性豊かな先生たち、そしてトリック映像で消えるボールや紙に書いた絵が動き出すのも魔法っぽい。ちょ>>続きを読む

競泳選手ジャン・タリス(1931年製作の映画)

-

レニ・リーフェンシュタールを彷彿する運動の美学。ただただプールの中で泳ぐ人の純粋運動を眺めて、それに感動できるかどうか。
ジャン・ヴィゴはやはり水の映画監督なのだなと思った。ドゥルーズがフランス戦前派
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ニースについて(1930年製作の映画)

-

ニースについて。ニースの人々、生活、娯楽、カーニヴァルについて。
前半はジョナス・メカスっぽい市井の人々の記録映画、後半になるとロシア・アヴァンギャルドっぽい誇張された画面になってくる。
裸の女と足を
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アタラント号(1934年製作の映画)

4.0

今更ながら初めてジャン・ヴィゴを見たが、凄い映画だった。確かに凄い映画だったのだが、本当に凄い映画は見終わったあと何が凄かったのか言葉にするのが難しい。別に物語が面白いわけでもないし、物語に感動するわ>>続きを読む

遺灰は語る(2022年製作の映画)

4.0

キューブリック的なスタイリッシュな画面がカッコよかった。
死者をいかに正しく弔うかというアガンベン的なテーマもアクチュアリティがあって面白い。
ただ、ラストの短編は蛇足としか思えなかったのだが、あれの
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書かれた顔 4Kレストア版(1995年製作の映画)

4.5

黄昏の映画。田中純『都市の詩学』所収の「チマタのエロティシズム」も併せて読むことをおすすめします。

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.0

アインシュタインがぐうかわ
クリストファー・ノーランの映画は、物理学の深遠な世界と歴史の数奇な巡り合わせについて思いを馳せざるを得なくなるので、いつも見たあと夜眠れなくなってしまう。

新東京行進曲(1953年製作の映画)

4.0

226事件について1953年の日本映画で言及されるのはかなり早い段階なのではと思う。
戦後東京の都市論映画としてとても面白かった。当時の東京都知事も登場する。
関東大震災、東京大空襲と、2度崩壊した後
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ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争(2023年製作の映画)

-

ちょうど昨日、駒場で田中純先生の最終講義を聞いたばかりだったので、田中先生がアビ・ヴァールブルクや磯崎新、ベンヤミン、デヴィッド・ボウイから読み解いた「方法」と、ゴダールのそれとがダブって見えてしまっ>>続きを読む

ゴースト・ドッグ(1999年製作の映画)

4.5

エンドロールのスペシャル・サンクスに鈴木清順の名があった。排水口からの射撃の方法は『殺しの烙印』から学んだのだろう。主への忠誠を誓う葉隠同様、ジャームッシュによる日本文化へのリスペクトがアツすぎる。も>>続きを読む

恋の浮島(1982年製作の映画)

4.0

過去と現在、西洋と東洋、映画と演劇、生者と死者の境を容易に行き来し、境界が曖昧に乱れてゆく様が楽しい。曖昧に乱れた境目の中で、妖しく浮かぶ盆踊りの踊り子たちも良かった。
もちろん難しい映画だし、長くて
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めぐりあう時間たち(2002年製作の映画)

4.0

先日『ダロウェイ夫人』を読み終えたばかりで、すっかりウルフの魅力に取り憑かれていたなかで鑑賞。
『ダロウェイ夫人』と同じく、朝に始まり夜に終わるプロットなのだが、人物関係がそれぞれ微妙に変わっていて、
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.5

とてもあたたかいケアの映画だった。
弱みを打ち明けた者同士の親密な距離感がよかった。フィルムっぽい質感のちらつきも、明滅する星空のようで美しい。
なんとなく後期相米慎二を彷彿する暖かさだった。特に音楽
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

5.0

ヴィクトル・エリセ数十年ぶりの長編映画はあまりにも悲しく、あまりにも美しかった。文字通り魂が震える。
ローラとの対話が1番グッときた。濱口竜介を思わせるような、座った人同士の端正なショット・リヴァース
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オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

4.5

めちゃめちゃよかった。
男2人が温泉に浸かってるショットだけで最高だなーと思える映画は他には蔡明亮の『無無眠』くらいしか思いつかない。
ケリー・ライカートのホームビデオで撮ったような飾り気のないショッ
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外人部隊(1933年製作の映画)

3.0

ピエールの情緒が不安定すぎて物語についていくのがやっとだった。心変わり早すぎモラハラDV男で見ていてイライラする。
カメラ・ポジションと時間感覚が奇妙なのが面白かった。

サボタージュ(1936年製作の映画)

4.0

ヒッチコック、安定の面白さ。
小鳥と爆弾という組み合わせ、なんかとても相性が良い。サスペンスと子供という組み合わせも相性が良い。

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.5

今の自分に必要な映画だった。
音楽の趣味がめちゃいいおじさんの「パーフェクト」な日々のルーティンがただただ美しい。丁寧だし、整っているのだが、ときどきかき乱される。
東京の街の解像度が高かった。平日の
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大恋愛(1969年製作の映画)

4.0

シュールで独特な空気感は、ルイス・ブニュエル作品の脚本も書いてるジャン=クロード・カリエールの存在も大きいのだろうか。恋人の姿が別の女にダブって見える演出も、『欲望の曖昧な対象』っぽい。
そして相変わ
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幸福な結婚記念日(1962年製作の映画)

3.0

なんでそんなに詰めて車停めるん?という…笑 これまた細かくてスケールが小さくて面白い。