solo

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマンのsoloのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

3時間は長かったけど、長くても観てよかったと思える映画でした。名作は長いんよ…。仕方ない。
最後の方がやっぱり怒涛の流れですぐ過ぎるから体感的には3時間ない…と思う。
2022年英国映画協会発の「史上最高の映画トップ10」で1位…んでその下に

①「めまい」→ヒッチコックの中で唯一DVD持ってる。観たいと思って唯一買ったやつ。
②「市民ケーン」→あらすじだけでめっちゃ気になってずっと観たい映画うちの1本。
を、抑えてとのことで気になって。
ひとことで言うと"ゆるやかに死んでいく感じ"。
「じゃがいもを(調理失敗しちゃって)やり直してるの」
というセリフからの緊張感…そこからの終盤はずっと動悸がしてやばかった。

靴を磨くブラシを床に落とす、銀食器をおとす、カフェオレを流しに捨てる…
文字に起こせば何の意味もない日常のシーンなのに化物が出た!ぐらい心臓ごと跳ねあがってびっくりしてた。
…絶対わざとだと思う。この映画、そういう効果音が最初っからでかい。
やはりラストについて言及するレビューもあるけど、自分はあのラスト自体は予定調和というか。
映画ならそうかなと。現実ならあのラストはなくあのままゆるやかに狂って死んでいくか、もしくはちょっと調子を持ち直したりを繰り返して…さらにゆるやかに狂っていくんだなと思う。
同じ画角のシーンで表現されたルーチンタスクの中で飼い殺されるひとりの女。
この映画でのあのラストは狂気のピークでもあるけど、己を殺す日常からの脱出衝動が追い詰められた末に形になったともいえなくない?
なんにせよ、衝動なんよ。"何が"はないのよ。
下手なホラーやサスペンスの300倍は怖いもの見た。流されるまま日常を生きる感覚が最も身近で実感のある苦しみ、恐怖じゃないか?

…ほんとお母さんのことを思うなら、まじで1回観たほうがいい。これは母親の映画だった。母性とか二度と言うんじゃないよ、はっ倒すよ。
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