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エヴァの告白のペインのレビュー・感想・評価

エヴァの告白(2013年製作の映画)
4.5
『ミッドサマー』アリ・アスター監督のお気に入り映画リストより鑑賞。

溝口健二の『西鶴一代女』現代アップデート版というような趣すら感じさせる傑作。

より良い人生を求めてアメリカに移住してきた移民女性(マリオン・コティヤール)がさまざまな出来事に振り回され、自身のそのあまりの美貌“故に”自分を、そして周囲をも次々と不幸に陥らせていく実に救いのない話で、これまた完全にアリ・アスター好みの作品という感じでした(笑)

キャッチコピーの「祈りは叶わず、希望はつぶされ、愛に裏切られ、ただ生きようとした。それが、罪ですか――。」がめちゃくちゃ的確。


“こんな話マリオン・コティヤールじゃなきゃ成り立たねーよ!”ってな話ではありますが、本作の監督ジェームズ・グレイが初めてマリオン・コティヤールに会ったとき、そのあまりの美しいお顔にカール・Th・ドライヤー監督『裁かるるジャンヌ』の主演ルネ・ファルコネッティを彷彿としたとインタビューで仰っていて、相当に惚れ込んでのキャスティングだったのだなと。たしかに似ているとまでは言わないまでもマリオンと近しいものを私も感じます。

ちなみにグレイ監督はマリオンについて“「この女性なら何も台詞を言う必要はないな」と感じるほど本当に表情が豊かで、彼女ならサイレント映画にも出られるでしょう!”と話しています。本作のマリオン演じる主人公も厳格なカトリックなので『裁かるる~』に通ずる部分もありますね。

そして、その他メインキャストにはホアキン・フェニックス、ジェレミー・レナーという人気実力共に最高な役者陣がおり、そりゃ良い映画になりますわなという感じではある。


近年のウディ・アレン作品常連の撮影監督ダリウス・コンジによるセピアを基調とした格調高い画作りも素晴らしく、メガヒット作を飛ばすような監督ではないがやはりジェームズ・グレイ監督の的確な語り口、手腕も見事という他ない。


逃げることができたマリオン・コティヤールと残ることしかできないホアキン・フェニックス。それでも同じ方向に進む2人を示している窓と鏡のあのラストショット…ああ素晴らしすぎる💯
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