イチロヲ

愛の亡霊のイチロヲのレビュー・感想・評価

愛の亡霊(1978年製作の映画)
3.5
夫殺しの完全犯罪に手を染めた夫人(吉行和子)と情夫(藤竜也)が、不可思議な怪異現象に見舞われてしまう。「愛のコリーダ」のフランス人プロデューサーと1965年度「怪談」の製作陣が携わっている、怪談映画。

完全犯罪がバレるかどうかのサスペンスと非日常的な怪異現象の取り合わせが、フォトジェニックな純和風の風景の中で繰り広げられる。雰囲気作りが非常に素晴らしく、Jホラーの源流を垣間見ることができる。

本作の特徴は、幽霊のことを「死人の幽体」として、はっきりと定義付けているところにある。脅迫観念を駆り立てられた主人公男女が、脳内で勝手に幽霊をこしらえていく展開かと思いきや、そうではないことに気づかされる。

個人的には、脳内で幽霊をこしらえていく「脳の不思議系」のほうが好みなのだが、古典的な怪談の踏襲という意味合いでは、この路線が正解。なお、筆者のフェイバリット女優である伊佐山ひろ子が、ほんの一瞬だけ出演している。
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