ニクガタナ

ペコロスの母に会いに行くのニクガタナのレビュー・感想・評価

ペコロスの母に会いに行く(2013年製作の映画)
3.6
長崎で暮らす漫画家兼シンガーソングライターでサラリーマンの中年息子と認知症の母との日々を優しく綴った漫画が原作。奇行繰り返す母親に対する主人公の「あーもう!」って苛立ちにまず共感。舞台中心に活躍する硬派な芝居の役者という印象があった岩松了が適度なコメディ芝居で好演した主人公の、深刻になり過ぎない飄々とした生き方が魅力的。本作が映画初主演となる母親役の赤木春恵も佇まいが良い。十八番のハゲ隠し芝居の竹中直人は例によってやりすぎだ。認知症の当事者の過去を振り返る構成がユニークで上手い。これまで認知症を取り上げた作品を観ると介護側の苦労ばかりに目が行き、介護される患者の想いに考えを巡らせたことがなかったと気づかされる。実際の介護の現場はもっと過酷なんだろうけど、施設で楽しそうな認知症患者達の様子は、確かにボケるのも悪いことばかりじゃないと思わせる。母に撫でられるハゲ頭を見て、ハゲも…。母の日になると本作思い出し、母を想う。
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