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小さいおうちの堊のレビュー・感想・評価

小さいおうち(2013年製作の映画)
2.9
百合をもって『永遠の0』に立ち向かおうとする山田洋次の姿勢に涙を禁じ得ないものの、反戦主張と異性愛メロドラマが強すぎるせいで百田尚樹に接近してしまっている。松たか子の足を揉む黒木華をもう少し丁寧に映していれば日本の『キャロル』になれていたのだろうが、むしろ喧伝されていた百合よりも特撮研究所による大林宣彦のような特撮、雨の中の告白でのエドワードヤンのような懐中電灯、家を一周する黒木華を横移動しながら追うカメラといった細部が妙に印象に残る。先日の『溝口健二論』片手にFinal Cutを使いこなす姿を見たあとに本作を観ると山田洋次のイメージが一新されるかもしれない…
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