あいつ

ブランカニエベスのあいつのレビュー・感想・評価

ブランカニエベス(2013年製作の映画)
4.2
これまた素晴らしい雰囲気映画でした。独特で美しい映像世界に陶酔する104分!
ストーリーは白雪姫をベースに闘牛、フラメンコなスペインを詰め込んだ…映画ってより手の込んだ映像作品?みたい(話はシンプルですし、独特な世界観やアイディアに感動)。


無声映画でビンテージな仕上がりとおとぎ話の掛け合わせはノスタルジーに誘われます…。

白黒なので色を想像させられる…特に赤。闘牛のマント、血、リンゴ、スペイン女性の大きい口の紅、出てくるモチーフの赤色は頭の中で本物よりも鮮やかに脳内再生される(気がします←)。

また余計な色がなくなることで影と光が強調される。下から光はベタだけど怖い、怖い。


優しい祖母が亡くなり、意地悪な継母に引き取られる…こんな先の不吉さを“白いワンピースが黒に染められるカット”を挿入して印象的に仕上げている…、他に回転レコード、楽しげに周りしはしゃぐ父と娘、螺旋(ってより弧を描いた)階段を駆け上る怒る継母、回るって動きをしているが相反する感情の其々を合わせるシーンも好き…他に綺麗な画がたくさん…、素敵な編集。


この個性的な作品の始まりはインスピレーションからなのか?それとも計算をし尽くして出来上がった完成形なのか?そんな事を考えてました…、映像を勉強してる人にオススメな作品。


余談ですが、本作で“ゴヤ賞”の存在を知りました。ゴヤって名前、本作にピッタリ(幻想的で悪夢を見ているようで…)。