【単純姫】
単純なつくりで驚き。
これ要は氷結ハンデを背負ったエルサの心の持ちようだけが物語の課題なのですね。
その氷解法は確かに、ディズニープリンセスものとしては変化球でしたが全体、語り方に厚みがなく設計図を見せられた感。ヒットの要因もこの単純さかって気もしますが今後のディズニー、これが加速するならさすがに飽きるかも。
Let It Goは確かに効く曲ですが、歌うエルサは「後ろ向きに前向き」で独り盛り上がるわけで、一番のクライマックスがこれってどうなん？と腑に落ちなかった。
で、ここがマイナス100盛り上がりとすると、結末はプラス10くらいであまりカタルシスもなかった。
エルサが氷の城オーナーになってゆく過程も理屈ではわかるんですが、ただ氷に囲まれるだけって説得力がない。例えば食事は？食べなくてすむならもはや、ハンデを持つ人間ではなく化け物でしょう。それじゃもう一段、上の話になってしまうと思う。
アンデルセン原作の雪の女王は、まったく象徴的な存在の化け物だからよかったけれど、エルサは普通の女の子が変貌していく話なのだから、生活の変貌を無視したら絵に描いた餅で、こういうところを肉付けするから面白くなると思うのですが。
アナがそのギャップと闘うところを見たかった。ただ姉を説得しようとするばかりじゃ、映画的な膨らみがない。
他、雪だるまオラフはオモロキャラですが、女王との接点がないからつまらない。彼の出自からして、彼女の心を変えるような活躍があってもいいんじゃないか？結局ほとんど本筋に絡まないしなあ。ただの息抜きキャラなんですよね。
全般こういう感じで、面白いエピソードが積み重なって大きく盛り上がる、ということが見つからない…。
確かに、CGの表現力はすごいです。が、技術向上の裏で、何かが忘れられている気がしてなりません。
<2014.5.1 記>
