ちろる

サカサマのパテマのちろるのレビュー・感想・評価

サカサマのパテマ(2013年製作の映画)
3.9
ありそでなかった重力逆転型のボーイミーツガールアニメーション。
父を失ってしまったという共通の過去を持つパテマとエイジ。
真逆の重力に住む世界から2人は、同じ大地を踏むことはできない。
何もかもが真逆ではあるけれど、共に空に想いを馳せる気持ちは変わらず、父たちは何を封鎖された世界を恐る社会から共に生きる道はないのか?

『天空の城ラピュタ』のシータは空から落ちてくる少女だったが、パテマはエイジの住む『アイガ』の(地面)から(空)に落ちてきた。
パテマは初対面にもかかわらず、エイジにつかまらないとアイガでは暮らせず、必然的に二人は一心同体となり、心も通わさずにはいられないという設定が非常にユニークだ。
2人が出会うべきして出会った事がわかる、
エイジの父を気球を見つけたあたりからの世界観がとても好き。
「パテマ、こんな顔だったんだ」
とエイジが言葉に出す時、改めて(そうか、2人は顔を突き合わせた事ないんだ)って気づき無性に切なくなる。

一瞬でも手を離せば互いに一生会えなくなる。
されど、アイガ人とガイア人は共に当たり前のように暮らすことは出来ず、二つの人種の謎を解き明かし統一を夢見る2人には魔の手が伸びる。
そんな感じで設定が奇想天外で、緊張感を伴うハラハラドキドキ展開に目が離せないエンタメ性抜群の作品ですが、そういう事だったのかーというラストの展開は色々考えさせられる。
あくまでとファンタジーですが、これを観た後、私たちの世界ももしかしたら・・・なんて震えたのは私だけでしょうか?

奥行きのある美し背景や、魅力的なキャラクターで期待よりずっと面白かったので、たくさんの人に知って欲しい良作アニメーション映画でした。
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