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ラストエンペラーのmskirのレビュー・感想・評価

ラストエンペラー(1987年製作の映画)
4.1
愛新覚羅溥儀の生涯を描いた壮大且つ壮絶な作品。実際の史実を基本軸に、織り交ぜるフィクションがドラマ性を高める。
紫禁城での閉鎖的社会が印象深く表現されていて、溥儀の人格形成や望みなどが垣間見える。紫禁城退去後は西洋と東洋の文明や文化的な演出が増すも、様々な目論みや企てを図る野心深い周囲に巻き込まれ、傀儡皇帝と化す。本作での日本人の見え方はかなり陰謀めいた極悪。これもまた事実なのだろう。
収監所の告白で半生を振り返りながら、自分の歩んできた道に自己卑下するあたり、えも言えぬ哀愁を感じる。最後の皇帝の最後に想ったことはなんだったんだろう、と、ラストシーンを眺めながら思い馳せる。

音楽は舞台である中国的なイメージもさながら、"東洋"的ノスタルジーがとても心地よい。余韻の残り方がすごい。
紫禁城の美しさに加えて、シーツ下の淫靡な表現がとても官能的で良かった。
映像の魅せ方もまた見事。
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