三樹夫

ウルフ・オブ・ウォールストリートの三樹夫のネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

グッドフェローズのウォール街版という映画だ。スコセッシは悪人とかクズに感情移入するがこの映画もそう。悪徳証券マンのアゲアゲ乱痴気な毎日からのバッドエンド(主人公にとっての)。ラストはアコギな生活からカタギになり、地下鉄に乗っていることになんの疑問も無いような奴には主人公がカタギになってハッピーエンドと思えるかもしれないが主人公にとっては退屈極まりないんだよという、グッドフェローズと一緒なのだがラストの描き方はこっちのほうが好き。グッドフェローズは主人公のナレーションで説明していたが、こっちはデカプーが本当に面白くなそうに講演をしているという顔一発で表しているので。
最後のセミナーは劇中会社で行っていた演説と対比になっている。地下鉄に乗っている様なセミナー客に講演をする虚しさは、会社のギラギラの狼たちにする演説の熱狂とは大きな違いだ。

地下鉄のシーンも素晴らしいし、ユーモアも良かった。もうおパンチュ穿かないと言われたときのデカプーのマヌケなリアクションとかこれぞマヌケという例だった。後、女のケツの谷間にコカイン振っての吸入方法。日本で言えば女体盛りみたいなガハハ系な行為で、こいつらクズだなと分かる。またデカプーのケツを見れて、SMケツに蝋燭刺しなどやたら身体を張って汚れ役をしていた。
マシュー・マコノヒーの俺は一日二回オナニーをしているというのを筆頭に、ずっとイカれたアドバイスしかしてこないのは笑った。株なんて博打や儲けられる保証なんかねぇと気持ちのいい言い切りっぷりだった。正直証券マンなんてこんなもんなのだろうか。『ウォール街』公開の後に証券マン希望が殺到したり、この映画でも悪く記事に書かれたのに入社希望殺到のシーンがあったが、どんな奴が証券会社で働いているのか推して知るべきなのか。
デカプーとジョナ・ヒルのブロマンスにもなっており、二人ともお互いのことめっちゃ好きやん。しかし最終的には裏切ることになる一抹の寂しさがある。

俗物クズの主人公だが、金持ちから大金ぶん取るだったり、シングルマザーを雇うエピソードなど、ある程度は主人公側に感情移入ができる様な余白が設けられている。
三樹夫

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