MasaichiYaguchi

アメリカン・ハッスルのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

アメリカン・ハッスル(2013年製作の映画)
3.6
この作品は1970年代に実際に起こった収賄事件「アブスキャム事件」を基に、当時盛んだった「おとり捜査」をモチーフに描いている。
「嘘も方便」と言われるように、時と場合によっては必要な嘘もある。
ただ物事には程度があり、度が過ぎて「嘘八百」になったり、「嘘に嘘を上塗り」したら「真実」を見失ってしまうかもしれない。
本作に登場する人々はサバイバルする為に嘘をつく。
特に主人公の天才詐欺師アーヴィンは欺くことが「生業」だし、愛人シドニーは彼の「生業」における重要なビジネス・パートナーでもある。
この映画で描かれる「おとり捜査」を仕切るキレ易いFBI捜査官リッチーも、ターゲットを検挙する為ならアーヴィン顔負けのこともする。
これら一癖も二癖もある登場人物を演じるキャストも演技だけでなく外見もぶっ飛んでいる。
1970年代のファッションに身を包んだエイミー・アダムスとジェニファー・ローレンスのセクシーさも目を惹くが、パンチパーマで髭もじゃでワイルドなブラッドリー・クーパーや、冒頭から観客を唖然とさせるクリスチャン・ベイルの変貌ぶりには、ただただ彼の役者根性に脱帽するばかりだ。
そして見所は役者の熱演だけではない。
舞台となっている1970年代アメリカの文化や風俗、特に当時の数々のヒットナンバーがストーリーを盛り上げる。
これらの曲とリンクしたシーンによっては思わずリズムをとったり、口ずさみたくなる。
「おとり捜査」は後半からFBI捜査官リッチーの暴走や、アーヴィンの妻ロザリンの横槍によって予想外の展開をし、已むを得ない事情で協力しているアーヴィンたちを窮地に陥れる。
果たして「おとり捜査」の行方は、更に嘘に塗れた人生を送ってきたアーヴィンたちは最後に何を見出すのか?
笑えるところも一杯ある予測不能のストーリーは最後まで観客を飽きさせません。