A田

ぼくたちの家族のA田のレビュー・感想・評価

ぼくたちの家族(2013年製作の映画)
3.2
題名からわかるように、男の目線から家族像を探る。父、長男、次男の3人が家族の再生のために奮闘する話。
家族っていう実際のところ明確な枠組みのない、もはやシガラミのような存在に対して奉仕することが、何よりも優先すべきものとして描かれる。特に長男は、新たな家庭を築いておきながら、すべてを懸けて奉仕する。血縁ってものはどんな契約よりも固いつながりであることを実感。
こんなに「家族のため」「家族のため」って言われると、つい自分を省みて、たいへん肩身の狭い思いをしました。

こういう闘病モノにおいて、あまり描かれることのなかったお金の問題を前に出し、リアリティ面を強化。
両親の借金を一気に背負いこみ、爆発寸前の感情をこらえる妻夫木聡。ついに奇行に走るかと思いきや、ただ外に出てランニングするっていう、ささやかな昇華の仕方にフフッてなった。

サボテンやら妊婦やらフラダンスやら、生を感じさせる表現には溢れてるんだけど、死を予感させるようなものは一向に出てこないので、緊張感はなかった。この人ぜんぜん死ぬ気配ない。
A田

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