がちゃん

フィルスのがちゃんのレビュー・感想・評価

フィルス(2013年製作の映画)
3.7
いやあ、ひどい警察官がいたものです。
いわゆる、汚職警官。

アメリカ映画だと、この汚職警官を痛烈に告発する正義感が現れたり
(セルピコ・ジャスティスなど)、
あるいは、これをコメディに転化して笑いものにしたり
(ポリス・アカデミーシリーズなど)、するものなんですが、
そこは皮肉屋揃いの英国。
なんと、この汚職警官を主人公にしたブラックコメディにしちゃいました。

この作品の主人公ブルース・ロバートソン。
彼はスコットランド人の刑事なのだが、
特技は同僚や友人を陥れるための裏工作と残業の不正申告。
趣味がポルノ、売春、不倫、アルコール、コカイン、などなど・・・
およそ法の番人とは思えない人物。
おまけに人種差別者。

そんな彼にも野望がある。
それは「昇進」。
実にちっちゃい野望です。

クリスマスも近いある夜。
日本人学生が惨殺される。
目撃者はゼロとされているこの難事件の責任者に、
このブルースが選ばれる。

ブルースはこの仕事をきっかけに、
昇進をしようと目論むが、
捜査をすすめるにつれ、自分の過去と向き合わなければならなかった。
そしていくうちに次第にブルースの精神は錯乱していく。

このブルースの周りの刑事たちも変人ばかり。
女王様のような女刑事、娼婦のような妻、
ゲイ、ヤク中、ちょっとオツムの弱い男など、
同じ部署にいる。

目撃者なしと思われたこの事件に、
ひとりの女性目撃者がいることがわかったのだが、
この目撃者がこのドラマを強烈な展開へと導いていく・・・・

コカインの過剰摂取場面は、デ・パルマの「スカーフェース」を連想しました。
何かとおせっかいな精神科医の台詞回しに「時計じかけのオレンジ」の
保護観察員を連想したり。
時折フラッシュで人間が獣に変わってしまうシーンは、
ちょっと怖い。

過激なシーンの連続と、英国の風俗描写もあり、
たいへん面白かったのだが、
ストーリーを詳しく書けないのが残念。
見終わったあと、誰かと作品について語りたくなりました。
ラストの絶望的なラストシーンが印象的で。
いろんな方に見ていただきたいのですが、
R-18ですので、
おこちゃまは我慢してね。

原作は「トレインスポッティング」のアーヴェン・ウェルシュ
原題の「フィルス」とは、クズ、下衆、の意味。
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