わかうみたろう

何食わぬ顔のわかうみたろうのレビュー・感想・評価

何食わぬ顔(2003年製作の映画)
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学生映画にしてこの監督の真面目さと意地悪さがすでに画面に定着している本作は、人物や馬、乗り物が動くダイナミズムを取るために些細な出来事が散りばめられ、人の死に対しての悲しみを喪失への執着ではなく若者特有の浅薄さでもって前向きに切り取っている。尊敬する人の死に対して何かをしたい、という気持ちを、言語と、虚構と現実の境目とを越えて映画にしてしまう手法はこの監督のフィルモグラフィーを預言していたかのような不気味さも兼ね備えている。