わかうみたろう

八月八日のわかうみたろうのレビュー・感想・評価

八月八日(2016年製作の映画)
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台本に書かれた台詞の内容なんかよりも、石橋静河が様々な声質で台詞の良し悪しを判断することのほうが映画的であるという監督の自信は、恋をしてなければ浮かんでこないであろう盲目さにもみえる。観客を意識しないで、眼の前に存在する石橋静河を映すことに全神経が注がれている本作は観ていて恥ずかしくなるほど石橋静河が美しい。凛としつつだらけている姿勢を繰り返すだけで、これが映画だ、と喜びを持って誰もが言える作品を作れるのは、長い映画史のなかでも未だに彼女にしかなし得ていないだろうと思わせられる。