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何食わぬ顔のAZのレビュー・感想・評価

何食わぬ顔(2003年製作の映画)
3.2
妙に仲が良く、戯れ合う男友達の姿が、完全に『ハズバンズ』(笑)。死から始まるという流れも。その後の悶々としながらも行動し続ける感じも。映画を作る者にとっての映画と、それを見る人にとっての映画、あるいは見ない人にとっての映画について。

映画とはこの世界にどういった影響を与えるのだろうか。

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主人公の心情がわからないし、描かれない。ただ、周りの人間への感情や映画の中で役を演じる彼を通して、何かが伝わってくる。

感想を書こうと思ったが、記憶が混同している。印象的なシーンはあるが、時系列で思い出すのが難しい。あのシーンは、映画のシーンだったのか、それとも映画の中の映画のシーンだったのか。意図的に記憶を混同させるように作られているようにも思う。

どちらの映像も、同じように描かれるし、なんなら同じようなシーンもあった。

つまり入れ子構造になっている。そして、映画の中の映画に描かれる姿にこそ真実が写っているように思えた。裏の裏は表のように、演技を演技することでよりその人のリアルなものが映し出されているように感じた。

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濱口監督にとってジョン・カサヴェテス監督の影響力を強く感じさせる。どんなにすごい監督にも、影響を与えられたり目指している人が存在している。なんなら今作オマージュ作品だ。0から何かを生み出すのはどんな監督だって難しい。それが勇気を与えてくれる。

若かりし濱口監督が意外とイケイケな雰囲気で、なんなら一番演技が上手く見えたのが意外だった。
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