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何食わぬ顔のfilesのレビュー・感想・評価

何食わぬ顔(2003年製作の映画)
5.0
映画サークルの学生が作った映画を見るのは初めてだった。濱口監督の映画を見るのも初めてだった。
だから、2020年の今ではなく、2003年の上映会に呼ばれた学生の気分になって見た。

華やかな音楽の代わりの街の雑踏の音。たった数年しか一緒にいられないと決まっている関係。お金の代わりに手間をかけていた時期。誰かの評価のためでなく、自分たちのために作る映画。
これらが漂わせていた学生特有の貧しさが、後半に向かうにつれ、贅沢さへと化けていく。そして長回しの名シーンへ。

終わったあとに、ミニシアターエイドのトップページを見てハッとなる。あの青年たちが走り抜けていった先はここか。

※後日談
感想を書いた数年後、この映画のおかげで映画のような経験をすることとなった。作品の存在意義って、分かりやすい名誉や評価で語られるものではなく、たった一人であったとしても誰かの行動を大きく変えることができるかどうか、だとつくづく思わされますね…。
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