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インターステラーのEpiのレビュー・感想・評価

インターステラー(2014年製作の映画)
5.0
「インターステラー」。
予告編を見る限り、家族と宇宙の映画?どっちつかずじゃね?とあまり期待はなく。
ただ、とても好きなクリストファー・ノーランの映画だから、映画館に足を運んだ、というが正直なところ。だが、結論からいうと、とても濃密な映画体験になった。

エッセンスからいうと、2001年宇宙の旅+フィールド オブ ドリームス+アルマゲドン、となるんだけど、もちろん、どの映画とも似ていない。フィルムにこだわって撮影された画面の色味と深さ、あえてミニチュアを多用したマテリアル感が、映画に独特の空気感を漂わせていた。
そして、ホーキングの盟友・天才物理学者のキップ・ソーン本人がプロデューサーを務めたからこそ描けた最新鋭の宇宙のかたち。
熱演、という名にふさわしい役者たちの演技、オーケストラの豊かな音楽と音…その全てが結びついて、この映画を稀有なものにしてくれたのだ。

あの俳優があんな登場をするとは!という驚きも、後でなるほど!の納得もあり。

個人的には、人工知能ロボットのTARSとCASEのかたちが素晴らしかった。
まさに未来のロボットは、人間に似せるのではなく、ああいうかたちと用途がふさわしい、と納得できるものだった。このあたりにも、キップ・ソーンの意思が働いているのかもしれない。

砂嵐、2つの父と娘、時間、空間、葛藤、…特に後半から観客をドキドキさせっぱなし。3つ以上の山を作りながら、なお、それを乗り越えて物語は進む。いつの間にか、我々は、映画に没入し、いつの間にか涙し、深く静かな感動を覚える。

今年いちばんは、自分にとっては、この映画、である。

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「追記」
今、発売のPOPEYE最新号の「僕の好きな映画」、川村元気氏の[インターステラ―」評に完全に同意。

VFXを使いながら、それを親子の最も深い感情をつなぐシーンに使い、パイプオルガンや聖歌、トウモロコシ畑のイメージなど、古典を踏まえつつ前衛的に見せている。
SFでありながら、最後をアートに飛ばすのではなく、きちんと人間ドラマに収束させ、エンターテインメントから外さない。
まさに「2001年」に比肩しうる作品。
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