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サタンタンゴのcocacorgiのネタバレレビュー・内容・結末

サタンタンゴ(1994年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

リバイバルの時TLがサタンタンゴサタンタンゴ一色かつ地球には2種類の人間しかいない構文と合流して、この世にはサタンタンゴを見た人or見てない人の2種類しかいないって文言にほぇーと漠然と鼻をほじってた存在しない記憶がある。
ニーチェ以降タルベーラ好きオジさんが界隈で異常発生して10代の多感で健全なアンチメジャー精神はタルベーラを拒絶。タルベーラはnotシネフィル用でカジュアルでファッションでほぇーと漠然と鼻をほじってた存在しない記憶がある。
でも今ならもしかしたらオタルベーラを受け入れられるんじゃないかと淡い可能性をなぜか感じた。高熱の時に追い込む癖がついてきた。
文字通り時間が止まったような(全然有り難くない)グッとくる瞬間とかハッとする画とか語彙が死んでるけどあった。これはヤンキー効果で、通常マイナスか0のものがギャップで相対評価をプラスに見せかけた時にバフがかかる。逆に今までずっとプラスだったものは一瞬でもマイナスを見せれば気持ちは簡単に離れる。ゲインロス効果はポピュラーな現象になり、誰だって常日頃から真面目な方が絶対に偉いに決まってるじゃないかと、普段は迷惑しか掛けない人間の不意の優しさがそれを越えるべきではないんじゃないかと、正直それはどっこいどっこいでギャップ萌えって意外と刺さるんだよと。
今だからこそ自信を持って言えるなと思ったのは7時間の中でトータル1時間心を震わせる映画はきっと素晴らしいに違いないが80分間常に胸を躍らせるオチが最低な映画の方が絶対に好き。7時間付き合う前提の一瞬のギャップ萌えなんか不調時のギュルギュルうんち。
不思議なもので7時間も一緒に過ごせば愛着が湧くのが人情で、気持ち良さげなトラックショットや静けさに浸透する知らぬ言語の心地良さとか終わりに近付くにつれて悔しくも名残惜しい気持ちになった。でもこれどんな映画も7時間あれば似たような感覚になるんじゃないかなと自問自答の葛藤もあった。
サタンタンゴが特別か7時間が特別かは分からないし実は7時間も見てない。あえて残り1時間を見ないことにしたから。これは色んな意味での逃げで、7時間に意味を見出せなかった場合の保険で、サタンタンゴを見た人でありつつサタンタンゴを見てない人になりたくて、二元論の枠からハミ出てこの世の理から解き放たれたかった。少なくともこれで3種類目の人間が生まれ、この世にはサタンタンゴを見た人orサタンタンゴを見てない人orサタンタンゴを残り1時間で見るのを止めた人がいる。もしサタンタンゴを6時間見たならあとたったの1時間で絶大な達成感が得られ胸を張ってサタンタンゴ見たよ!って自慢できるのにそれをしない、いつまでも風潮に逆らいたい10代の心が蘇ってきた。
このしてやった感がサタンタンゴ体験の最大の魅力だったと胸に刻みこのまま墓まで持って行く所存。その点で言えばサタンタンゴはサタンタンゴに対する反骨によって原点回帰を促すとても重要な意味のあるサタンタンゴだった。
みたいな感想をノリでズラッと書いちゃうくらい7時間って尺は人を壊す、めちゃめちゃ踏ん張ってたの気が動転して時間を確認してしまった時の残り3時間はここ数年で1番メンタルに響き生命の危機を感じた。熱は下がり始めた。好き嫌いで、好きじゃない。

タルベーラオジさん、私やっぱダメでしたわ
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